みなさんこんにちは!鹿児島県共生・協働センター、ココラボです!^ ^
ココラボでは、教育・福祉・地域づくり等様々な分野における自発的で主体的な社会貢献活動を応援しています。
そこで今年度ココラボでは、この考え方やスキルは地域づくりを行う上で必要なのではないか!?というものを取り上げ、発信させていただきます。
今回は第1弾として、『ファシリテーション』についてお届けします!
少しでもみなさんのお役に立てることができればと思います!
<ご案内>
今回の記事については、2022年度に実施したテーマ別オンライン講座の『第3回 現場で活かすファシリテーションのコツ』をもとに作成しております。また、講座の動画は、お申し込みいただくことで視聴することができますので、是非下記のフォームより視聴希望の動画を選択してお申し込みください^ ^
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdcFLO-H35ngaAdbHka774pNy582_dlNRYvOno26Ka9O_0WpA/viewform
目次
1、そもそもファシリテーションって?
2、ファシリテーションのテクニックについて
3、共有可能なテーマ設定について
4、自分自身にも相手にも共感し続けるために
5、ファシリテーターとして大事にしたい在り方について
1、そもそもファシリテーションって?
そもそもファシリテーションってなに!?という方もいらっしゃると思います。ファシリテーションとは、より良い話し合いの場づくりの手法です。会議などの様々な話し合いの場を進行・サポートする人のことをファシリテーターとも呼びます。
話し合いの場といっても様々で、会社の会議や自治体の会合、一対一での話し合いもあります。ファシリテーションには様々な考え方や手法があるので、自分自身や自分の現場において本当に必要なファシリテートの考え方なのか、これなら始められそうなど、インプットした上で検討して、小さく意識・実践を始めてください。
では、"より良い"話し合いとはどういった状態を指すのでしょうか?
ココラボでは、より良い状態を明確にするために
『参加者一人ひとりの参画を最大限に確保し、目的達成に貢献すること』と定義しています。
ですが、、、、
「ココラボさんココラボさん、ファシリテーションの定義は理解したけど、じゃあどうすれば良いの?」
という声が聞こえてきそうです。
そうなんです、ファシリテーションを実践する上での壁として
①何から実践していいか分からない
➡︎そもそもその場がどうなることが理想か?何から取り入れるか。
②共有できる仲間がいない
➡︎ひとりでできることには限界がある。
③当日より重要な事前準備の負担
➡︎そこまで時間がさけないのであれば中途半端にはやらないほうがいい?
などが挙げられます。
そこで、明日から実践できるファシリテートのテクニックについて学んでいきましょう!
2、ファシリテーションのテクニックについて
それでは、みなさんが場づくりや話し合いで困ることはどんなものが挙げられるでしょうか?
少し考えてみてください^ ^
恐らくたくさんの困り事が浮かんできたのではないでしょうか?^^;
よくある困りごととして下記画像のようなことが挙げられるのではないでしょうか。
それでは、下記画像にある黒い線と灰色の線にはどういった意味があると思いますか?
みなさんお考えください^ ^
気づかれた方もいらっしゃると思いますが、黒い線では
①「設計における困りごと(コーディネート)」と
②「話し合いの運営上の困りごと(ファシリテート)」に分けられます。
(※下記画像の右側参照)
また、②「話し合いの運営上の困りごと(ファシリテート)」は灰色の線で、
「話し合いの準備段階」と「協議段階」と「結論が出た後」に分けられます。
(※下記画像の左側参照)
ではどうやってこれらの困りごとを解決していけば良いのか?
実は困りごとを解決するアプローチがあるんです!!
「設計における困りごと」の解決のアプローチとしては、「設計要因」と「環境要因」が挙げられます。設計要因については、『3、共感可能なテーマ設定』で触れていきたいと思います。
「話し合いの運営上の困りごと」の解決のアプローチは下記の項目が挙げられます。
どの段階においても、対応策を知っているだけで、話し合いの価値を進行面から高めることができます。
それでは具体的に、実践できる勇気度レベルも参考に取り入れられることについて見ていきましょう^ ^
実践例として6つ挙げてみましたが、いかがでしたでしょうか?^ ^
どの項目も話し合いの場をつくるためには大切なことです。取り入れられることから、少しずつ取り入れてみましょう!
ここまでは、運営上の困りごとを"技術"としてのファシリテーションを習得していくことで解決につなげる手法をお伝えしました。
3、「共有」可能なテーマ設定について
ここからは、参加者が集まらない、いつも同じ人しか来ない、遅刻が多いなどの課題を解決するためのアプローチである設計要因(共感可能なテーマ設計/本質的な課題抽出)について考えていきましょう。
ではなぜこのような問題が起きるのでしょうか?
考えられる点としては、「そもそも参加したくなる、つまり共感できるテーマが設定された場になっているか?」あるいは「本質的な議論ができそうなテーマが設定された場になっているか?」といったことが挙げられます。
※ここでいうテーマとは、会議のタイトル(○○○について考える会議)やその場の概要・目的になる部分のことです。恐らくその部分を受けて、この場の議論に参加したいと思うか、その考え方は私の考えていることと全く当てはまらない考え方だからそもそも参加したくないな、などとみなさん考えたり、判断したりすると思います。
前半において、ファシリテーションの定義を「参加者一人ひとりの参画を最大限に確保し、目的達成に貢献すること」としました。この役割を担うファシリテーターが”場の運営において”大切にしたい在り方の要素として、共感可能なテーマ設定は「できるだけ参加者一人ひとりのニーズに寄り添ったもの」と考えています。
もっとイメージを膨らませていくために、例題を出しながら考えていきましょう。
会議のテーマは、「目的:小学校の生徒数減少に対する地域としての対応策を皆で考えたい」です。どのような問いを掲げて話し合いの場を開きますか?
AさんとBさんのそれぞれの考えは下の通りです。
それぞれのテーマの背景にはどのような意図があるのでしょうか。
Aさんの場合、小学校を廃校すべしという思考・判断ありきの問いだということがわかります。Bさんは、子どもたちの学習環境を良いものにしたいというニーズからの問いです。どちらが良い・悪いということはないですが、これから地域の人たちも巻き込んで議論していく場をつくるために、提示する会議のタイトル(問いかけ)としてどちらのほうがふさわしいように感じますか?
ここまで共感可能なテーマ設定について考えてきましたが、そもそも「共感できるテーマ設定」の「共感」とはどういうことでしょうか?
次で考えてみましょう!
4、自分自身にも相手にも共感し続けるために
「共感できるテーマ設定」を考えていくためには、自分自身にも相手にも共感し続けることがポイントです。自分自身にも相手にも共感し続けるために必要な要素として、NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)があります。
具体的にAさんとBさんのやり取りをみていきましょう。
どうでしょう?日常的によくありそうな会話ですよね^^;
この会話を
①観察
②感情
③ニーズ
④リクエスト
に分解してみていきたいと思います。
まずは観察です。反対語は評価や判断。事実のみを取り扱い、自分の判断や評価と切り離すことです。
「あなたいつも私の話を聞かないよね」と言われれば「いつもってなんだよ、ちゃんと聞いてるじゃないか!」という反応、これは大いに予想がつきますよね。事実とは異なることを言われたり、盛って話されたり、相手の主観が入った言葉で攻められるといい気はしないですよね。
ではこの時の、お互いの感情はどうでしょうか?
Aさんは、不愉快・しゃくにさわる・苛立つなどが挙げられます。対してBさんは、腹が立つ・むかつく・うんざりなどが挙げられるのではないでしょうか。
感情は、美味しい!楽しい!嬉しい!怖い!悲しい!など、言葉にするとたくさんありますね。
これは何かを頭で考えて言葉にするのではなく、瞬間的に感じるものです。美味しいものを口に入れて、「あぁ、美味しい」と素直に出てくる言葉や気持ちが感情です。
さらに、お互いのニーズはどうでしょうか?
ここでは、Bさんは「信頼、支え(サポート)、おもいやり」といったところがニーズでしょうか。わたしはちゃんと伝えたのに、、約束も守ってもらえないなら信頼できない。久しぶりに友達と過ごす時間をつくるには自分ひとりではどうにもならないから、Aさんの支えが必要。でもその支えが感じられない。勘違いするなんておもいやりも感じられないなあ。といったことが考えられそうです。
対してAさんは「尊敬、配慮」といったところがニーズでしょうか。僕も忙しいのに、事前にリマインドしてくれてもよかったんじゃないか、配慮が足りない。いつもって、そんなことないはずなのに、Bさんの主観を入れて過剰に表現するなんて人として尊敬できないふるまいだ。といったことがこちらは考えられそうです。
最後はリクエストです。
AさんとBさんのやり取りは、この後どうなっていくんでしょう?
この状況をどうするかでいくと、AさんBさんどちらかが予定をあきらめるか、AさんBさんどちらの予定も実行するために子どもの預け先を考えるかなど、様々な手段があります。
しかし、NVCとは「相手とのつながりを持ち続けながら、お互いのニーズが満たされるまで話し合いを続けていくという、共感を持って臨むコミュニケーションの方法」です。
ではこの後のやり取りをみていきましょう。
ちょっと美しすぎやしませんか!と思われるかもしれませんが、例題なので分かりやすさを重視させてもらいました(笑)
Bさんがお互いの時間を大事にしていきたいというニーズを伝え、それを受け取ったAさんは嬉しいと言っています。
自分のニーズをオープンにすることってなかなか難しいと思いますが、いきなり対応策や解決策を話し合うよりも、心をオープンにすることで二人の間につながりが生まれ、その後の対応や話し合いもスムーズにいくような気がしませんか?
相手のニーズを受け取り、それに共感したAさん。「嬉しい」と受け取ってくれたAさんに対して、Bさんが良かったらどう?という感じでカレンダーの共有を提案<リクエスト>していますね。そしてAさんもそのリクエストを受け取っています。
以上、この4つの要素がNVCというコミュニケーションの方法のなかで大切な要素になります。
では、このNVCとファシリテーション、一体どんな関係があるのか?
実際にファシリテーションをしていると、
「Aさんは〇〇と意見を出していたけど、その背景には何があったのかな?」や「会議は無事におわったけど、Bさんは何となく最後まですっきりしない顔だったなあ」など、人ベースで気になることがたくさん出てくることがありますが、ファシリテーターは必ず場を終えたら振り返りをすることをおすすめします。
ここでいう振り返りを言い換えるなら、もやもやの原因を探すということです。
振り返りながら、「Bさんがすっきりしない表情だったのは、以前から出ている〇〇のテーマについて、なかなか本質的な議論に踏み込めていないことにもやもやしているのかな?」や「自分なりに頑張ったつもりなんだけど、なんでこんなにもやもやするんだろう。あーAさんとBさんのことが引っかかっているのはあるなぁ。その他に心に引っかかってることってなんだっけ?」など。巡らせていくといろんなものが出てきます。
相手のニーズ、自分自身のなかにあるニーズに意識的になることが習慣づけば、相手のことも自分自身のことも俯瞰して冷静に向き合うことができます。
「いまあることをただただ受け止める」「人はお互いに影響し合う生き物、だからちょっといま刺激しあってる最中なんだよねと受け止める」「沈黙を恐れない」など、ファシリテーターとしてのメンタルを保つためにも、心を整えるためにも、NVCはとても重要な考え方です。
5、ファシリテーターとして大事にしたい在り方について
何度もお伝えしておりますが、私たちが考えるファシリテーションの定義は「参加者一人ひとりの参画を最大限に確保し、目的達成に貢献すること」です。
この役割を担うファシリテーターが、”場の運営において”大切にしたい在り方とは、いったいどんな要素があるのでしょうか。
ファシリテーターは、中立な立場に立っているようなイメージがありませんか?
議論の当事者としてその場にがっつりいるというよりは、全体を俯瞰しているようなイメージがあると思います。たしかにファシリテーターは全体に目を配りながら目的達成に貢献する存在ですので、「場全体を感じ続けながら、バランスを取り続ける」というのがファシリテーターで重要な在り方だと考えます。
では、一体何のバランスをとるのでしょうか?
まずひとつは、「目的(意図)を持ち続ける」ということが、片手にきます。
*はじめに、この場の目的(意図)を設定すること
「この場がどんな目的のもと開かれているのか」あるいは「どういった目的のもと場を開くのか」という目的の設定がとても重要です。目的やゴール設定をしている以上、ファシリテーターは、目的をもってその場を運営する必要があります。
*場をどう見立てるか(見立て力は場数からくるもの)
例えば参加者です。これが事前に分かっている場合もあれば、当日蓋を開けてみないとわからないという状況のときもあります。ファシリテーターは観察力も重要です。参加者の様子、年齢層、関係性、テーマに関する反応、場の空気、いろんな要素を感じ取りながら、どうかじ取りをしていくかを考えます。これはかなりレベルも高くなってくるので、できるだけ事前にリサーチ・ヒアリング・準備できることがベストではあります。その状況を把握しながら場を運営していきます。
*設計した内容を臨機応変に変えること(選択する力)
設計した内容を臨機応変に変えること(選択する力)。場が開く前に今日は○○と○○について話そう、だいたいこんな時間配分で…と準備をして臨みます。とはいえ、場とは生もの。実際の話し合いが始まるとどう展開していくかはわかりません。目的やゴールを設定はしていても、「ん?これは結構本質的なことを語る場になっていないか?」や「チームとしての関係性をつくるためには、いまこの議論もう少し時間延長したほうがいいかも」など、その場で判断し、もともと予定していたものを変更するということも選択する力のひとつです。
*タイムマネジメント
これはみなさん分かると思います。終わりの時間を決めて場を開くこと、終わりが決まっている以上、だいたいどのくらいの時間配分で議論を進めていくか、あと何分で次にいかないといけないか、考えながら進行していきます。
これらが「目的(意図)を持ち続ける」というひとつ、ファシリテーターとして大事な在り方になります。
そしてもう片方が、「いまここにあり続ける」という在り方です。
*場をコントロールしようとはしない、その意識を手放すこと。その場から生まれるものをどこまでも信じること(結論ありきの議論ではなく)
ファシリテーターで重要なことは、いくら目的やゴール設定をして臨むとしても議論の結論を決めて場に臨むことは好ましくありません。ファシリテーターとは、その場に参加している一人ひとりの声にできるだけ耳を傾け、目的達成に貢献することがファシリテーターの役割です。予測をするのはOKです。この議論なら、○○の意見や○○したいとか、そういったのが出てきそうだなぁと予測するのはいいです。それはその後の議論をどう進めていくか、イメージをすることにも役立つからです。
ただファシリテーターが場をコントロールすることは許されない、とここでは考えます。いろんな意見が出て、方向性が変わってきて、思っていもいなかったようなところにいくかもしれません。その場から生まれてくるものを大切にするという考え方です。
*自分自身にも、相手に対しても共感し続けること。(感情とニーズへの意識)
ファシリテーターは観察力というものがすごく大切です。
「Aさんはこう言った、でもBさんはこう言ってる、、AさんとBさんそれぞれの意見の背景には何があるんだろう?」
「Cさんは少々声をあらげながら意見した、Cさんの憤りは何だろう?背景に何があるんだろうか?」
といったことに意識的になることは重要です。
ファシリテーターの右手と左手には、それぞれ場を運営するうえで大切にしたい要素がたくさんあります。そのどちらかを優先するのではなく、両方のバランスをとりながら、場を運営していくということがファシリテーターとして大事にしたい在り方です。
ということで、今回は地域づくりに必要なあれこれシリーズということで、『ファシリテーション』について取り上げました。次回もお楽しみに!!^ ^