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みんなの一歩 じゅうにんめ 〜大橋 佑輔さん〜

こんにちは!鹿児島県共生・協働センター、通称ココラボの情報発信を担当しておりますパッションです!

 

ココラボでは『みんなの一歩』と題して、鹿児島県内で活動をされている方に活動の経緯や活動に対する想いなどを記事にまとめて、ココラボに入って左手すぐの壁際に展示しています。

 

じゅうにんめとなる今回は、鹿児島県枕崎市で地域おこし協力隊として活動されている方にインタビューしました。皆さんに、鹿児島でとても素敵な取り組みをされている方を知ってもらうとともに、皆さんの活動を始める小さな後押しになると嬉しいです。

みんなの一歩とは?

鹿児島県内には、多種多様な方々が様々な活動をされています。そしてその活動に至るまでの過程も様々です。

そこで『みんなの一歩』では、鹿児島県内で活動をされている方がどんな想いで活動をしていて、その活動を始めるそもそもの最初の一歩は何だったのかをインタビューしていきます。

 

みんなの一歩が、皆さんの活動を始める一歩の小さな後押しになるように、そんな想いで始めました。


みんなの一歩 じゅうにんめ

大橋 佑輔 さん(枕崎市地域おこし協力隊)

ープロフィールー

1986年生まれ、埼玉県草加市(せんべいの街)出身。外資系始め複数のIT企業にて約15年間、コンサルティング営業に従事。子供の頃に行っていた母の実家(岡山の山奥)のプチ田舎暮らしに感化され、思い立って2022年8月に枕崎に移住!

 

▼主な活動内容

関係人口、移住定住事業を担当。自身が縁もゆかりもない地に移住した経験を基にまずは枕崎を知ってもらう、興味を持ってもらう、来てもらうことを目的に街歩きイベント(PlayCityMakurazaki)や枕崎市内の事業者や県内各地の協力隊が出店する枕崎協力隊文化祭などを企画・実行。着任から8ヶ月で東京、および福岡からの大学生2名の移住や250名の関係人口創出を実現。今後はもともとの企業向け営業の経験や人脈を活かし、東京の大企業との新規事業開発・企業誘致にさらに注力していく。枕崎の活性化を通して対話と挑戦の文化を作る、一般社団法人 枕ラボ!の共同設立者・理事。

 

▼地域おこし協力隊とは?

地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組み。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期は概ね1年以上、3年未満とされている。

 

(出典:総務省ホームページ『https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html』)

 

活動内容の写真

上段左:鹿児島に初めて訪れロードバイクで一周した際に、霧島市の霧島町蒸留所での写真

上段右:枕崎の好きな風景である自宅からのオーシャンビュー!(駐車場でよくBBQをするとのこと)

下段左:日本を代表する売上数兆円企業6社を前に枕崎の課題をプレゼンし、企業との提携を模索するワークショップの様子

下段右:枕崎の仲間と集まっている様子


パッション:

本日はよろしくお願いします!

大橋さんは前職はどんなことをされていたんですか?

 

大橋さん

IT業界の中でもシステムインテグレーターという企業向けのオーダーメイドシステムを開発・構築する会社やアメリカに本社のあるクラウドサービスを提供する企業など4社で約15年間、営業の仕事をしていました。

 

パッション:

そうだったんですね!埼玉がご出身ということで、枕崎に移住するきっかけは何だったんですか?

 

大橋さん

元々は旅行が好きで、国内は全都道府県制覇したり、留学の経験もあって海外にも行ったりしていました。年末年始やお盆には、プチ移住体験で田舎に住んで採れたての野菜を食べたりしていて、移住するのも楽しそうだなと思っていたんです。その時にたまたま鹿児島市のイベント(※1PLAY CITY! DAYS)や九州のイベント(※2九州移住ドラフト会議)に参加したら、友人ができて仕事が見つかったので移住することを決断しました。

 

※1 PLAY CITY! DAYSとは?

鹿児島市の事業であり、5か月間にわたり、鹿児島市を想う市内外の仲間とともに、6エリアと4テーマの計10チームでまちを楽しむ100人規模のワークショップ

※2 九州移住ドラフト会議とは?

移住者を受け入れたい地域を「球団」、移住志望者を「選手」と見立て、プロ野球のドラフト会議さながらに球団が選手を指名するマッチングイベント

 

パッション:

友人ができて仕事が見つかったのが鹿児島だった、ということだったんですね。

 

大橋さん

そうですね。その時は移住のことは考えてなくて、友達ができたら良いなと思ってイベントには参加していましたね。観光以上移住未満というかたちで、友達がたくさんいる地域というのをつくろうと思っていました。そしたらイベントに参加する中で友達がたくさんできて、枕崎の方とも知り合って、たまたま3年に一度の枕崎の地域おこし協力隊の募集がかかっていたんです。

 

パッション:

移住しようと思った決め手はあったんですか?

 

大橋さん

ありましたね。鹿児島に来たのは結構最後の方で、45都道府県目ぐらいに来てるんですけど、その時はロードバイクで鹿児島を一周しました(笑)霧島から鹿屋を周って、根占港から指宿へ渡って、その時初めて枕崎に行きました。

 

パッション:

ロードバイクですか!?すごく大変そうです。

 

大橋さん

すごく大変でした。距離は分かっていたんですけど、鹿児島は起伏が激しくてしんどかったです。その時枕崎に行って思ったのは、海があって綺麗で、漁港もあって地元の埼玉や住んでいた東京とは雰囲気が違うなということでした。個人的には薩摩酒造さんの酒蔵見学が面白くて、アテンドしてくれた高校卒業から40年薩摩酒造に勤務されているというベテランの方が、質問していたら1時間〜2時間は一緒に説明してくれて、全種類試飲もさせてくれたんです。焼酎が好きなんだなと思ったし、枕崎のこともすごく好きな感じが言葉の端々から伝わってきて。。東京だと地元が好きだとか、繫りみたいなものをあまり感じることがなかったので、すごく暖かい空気感のある場所だなというのが枕崎の印象で、今から思えば無意識のうちにその時から移住候補地のひとつだったのかもしれないですね。

 

パッション:

地域や人とのつながりを大事にされているというのがあるんですか?

 

大橋さん

そうですね。移住をしても友達がいないと嫌だったんですよね。一度愛知県に転勤したことがあって、東京にも飽きてきたし、みんな転勤しているからと思って転勤を了承したんですけど、実際には転勤ってお客様が変わるだけでなく、仕事内容やプライベートの暮らしや交友関係も、生活全てが変わるんですよね。その時に2年ぐらいコミュニティがなくてしんどくて、もし移住するなら移住先にもコミュニティがあると良いなと思っていました。そしたら鹿児島市のイベント(PLAY CITY! DAYS)に参加したことで友達がたくさんできました。

 

パッション:

そうだったんですね。2022年の8月から枕崎の地域おこし協力隊に着任されたということで、実際に枕崎に住まれてどうですか?

 

大橋さん

東京から来ているので、鹿児島市の天文館のようなキラキラした感じではなくて、どちらかというと田舎っぽい雰囲気を求めて鹿児島に来たんですね。ご飯もすごく美味いし、人もあったかいし、当初のこんな暮らしがしたかったというのが叶っていますね。無いものを探せば色々無いですけど、その一方であるものはあるし、ちょうど良いなと思っています。

 

パッション:

地域おこし協力隊としてのミッションは何になるんですか?

 

大橋さん

移住・定住、関係人口の促進というのがミッションになっています。でも、自分の経験からも移住のハードルってめっちゃ高いことも認識しているので、関係人口をどうつくるか、その前の交流人口をどうつくるか、さらには枕崎を知らない人をどう取り込むかということに対して、それぞれのフェーズで施策をうって、数は少なくとも最終的に移住に向かう動線を作ろうとしています。具体的には、最近オープンしたカフェやゲストハウスをつくったり、オンライン移住相談会をやっています。あとは、首都圏向けに特産品を送って、プロの料理人が地元料理をつくるオンラインイベントをやりました。100人ぐらい参加していただいて良かったですね。

 

パッション:

移住や定住の前に、まずは枕崎のことを知ってもらって、どう関係性をつくっていくかということなんですね。

現在大橋さんが力を入れて取り組まれていることはなんですか?

 

大橋さん

最近は前職で培った法人向けの営業スキルを使った企業提携の領域に力を入れていています。先日は、売上数兆円規模の日本を代表する大企業6社の新規事業担当の人に枕崎の課題をプレゼンして、企業側が課題を深掘り、企業のリソースで何ができるのかというワークショップを行いました。人との関係人口もやっていますが、企業をまるまる関係人口にしちゃう!というのも面白いなと思っています。

 

パッション:

そうなんですね!

大橋さんは今、どんな思いで活動されているんですか?

 

大橋さん

自分はなぜ今ここにいるんだろうとか、何ができるんだろうというのを考え始めているところがあって、私が鹿児島や枕崎で活動する価値って何があるのかなと少し考えていました。個人的には元々いた都市圏の企業と地域を結ぶような役割をして地域に貢献したいという気持ちももちろんありますが、企業側にも貢献したいと思っていて、その両面でできることがないかというのを考えています。もともと企業側にいて、今は地域にいる自分の特性を踏まえて、地域と企業をつないで、やりたいことを具体化して、一緒に地域課題に取り組む活動を進めていきたいと思っています。

 

パッション:

そう考えるようになった理由はなんだったんですか?

 

大橋さん

大企業とのワークショップをやった時に、地域側と企業側の溝が深いなと感じたんです。枕崎側は課題が多過ぎてどう取り組んで良いか分からない。一方で企業側は、既存の事業だけでは頭打ちになるので、新規事業の一つとして地域と言っているけど、地域課題がよく分かっていない。新規事業について相談するネットワークもないのですぐに止まってしまう。でも一方で、技術的なリソースはたくさんあるんです。ここをうまく繋いで具体化して、トライ&エラーでやっていけば何かしら前に進むのではないかと思っています。自分の法人向けの営業経験で培ったコミュニケーション能力(飲み会を含めた笑)や、ふわっとした話をいろんな方を巻き込みながら具体化するノウハウなどを通じて、うまく地域と企業を繋げていけたらと考えています。

 

パッション:

そうだったんですね。鹿児島市のイベントで繋がりはできたとのことでしたが、枕崎の地域の方との繫りは最初はどのようにして踏み出していかれたんですか?

 

大橋さん

枕崎との繋がりは移住ドラフト会議で今お世話になっている地域商社まくらざきと繋がったことが最初でした。当初から枕崎には興味があったので、移住ドラフトでは本来やってはいけない逆指名(移住希望者側から地域を指名)したりしてましたね笑。また、地域おこし協力隊という市役所の一因でもあるので、市役所の同年代メンバーとも仕事以外のプライベートでも飲み会やスポーツイベントを企画して関係を作ってこれたかなと思います。枕崎にもコミュニティがあると良いなとずっと思っていたので、他の枕崎の地域おこし協力隊や市役所職員、市内の会社に勤めている方など立場関係なく、一緒に枕崎でなんかしたい、今のままではどうなんだろう、もしくはもう少しただ楽しく飲みたいという感じで集まって場づくりをしています。

 

パッション:

飲み会からつながりを増やしていかれたんですね。

 

大橋さん

そうですね。最初は一人誘ってとりあえず飲んでみて、次の機会にこの人も呼ぼう!って言って別の方にも来てもらって、、みたいなことをやっていたらどんどん人数が増えてきて(笑)

先日はBBQをしたんですけど、地域おこし協力隊、市役所職員、地域企業の方を集めて一緒に交流しました。最初の方は、枕崎の地域おこし協力隊の3人で飲んでいたのですが、そこから徐々に輪が広がってきて、現在は15人ぐらいはすぐに集まるようになってきましたね。

 

パッション:

素敵ですね!

これから大橋さんとしてどんなことをしていきたいと考えていますか?

 

大橋さん

知り合いが誰もいない中で、とりあえず1人2人つかまえて、その輪が枕崎の中でだんだんと広がってきたような気がしています。そこはもっと枕崎内でも広げていきたいし、枕崎外にも伝わるようにしていきたいなと思います。

 

パッション:

枕崎の中だけではなくて、外にも広がって欲しいという思いがあるんですね。

 

大橋さん

そうですね、先日枕崎でイベントをした時に、これまでの繫がりで鹿児島市からもたくさん来ていただいたんです。そしてイベントに来ていただいた鹿児島市の人たちが、他の方に枕崎でこんなことがあるよと話をしてくれて、それを聞いてまた来てくれたりもするんです。元々は小さい二、三人の輪だったけれど、それがどんどん大きくなっている実感があります。今は小さい所での成功事例かもしれないけど、もっと大きくしてそれが全国や海外に広がっていったらすごい世界観になるなとは思っています。枕崎ともっと関わりたいという人が増えて、今までいなかった人が来てくれることで地域課題の解決につながったり、新しいビジネスができたり、そこまでいけたらすごい良いのかなと考えています。自分が手を動かすこともしたいけど、その仕掛けづくりをできたら良いかなと思っています。

 

パッション:

枕崎外からたくさんの人が枕崎に足を運んでいて、大橋さんがパイプ役を担っているんですね。最後にこれから一歩踏み出したい人に向けてメッセージをください。

 

大橋さん

一歩を踏み出す勇気が大事なのかなと思います。いろいろとやりたいことがあっても、踏み出したことのない所にいこうとした時は、どうしても怖いことがあると思うんです。でもその小さい一歩の積み重ねが大きくなっていくような気がしています。私の飲んで繋がるという所も、最初に自分から声をかけて誘いました。それがだんだんと重なっていき、人が増えていって、面白そうだからと言って他の人も来てくれるんです。なんで出来たのだろうと思うと、小さい勇気のある一歩の積み重ねだったので、少し怖いかもしれないですけど、一歩を踏み出してやってみてください。

 

 


おわりに

大橋さんとのインタビューを通して、小さな積み重ねがあることで、今の活動につながっているんだと改めて感じることができました。その小さな一歩は、とても勇気のいることかもしれないけど、自分の実現したいことや、より良い豊かな暮らしをおくるためには恐れずに踏み出すことが大事だということがわかりました。これからの大橋さんや枕崎の取り組みが楽しみです!! 

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